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1都5県を11,200歩で雪見の日帰り旅行 [人生とは死ぬまでの暇つぶし?]

 雪と山が極端に少ないところに育ったためか、冬になると雪の山を見たくなります。毎年この時季、東北や上信越の豪雪地を選んで旅しています。本来徒歩の旅を好むのですが、今回は、体調不良に加え水墨画の県展締切日がまぢかに迫り時間が惜しい。そこで北陸新幹線、えちごトキめき鉄道、北越急行(通称ほくほく線)、上越線、上越新幹線と一都五県をまたぎ一日で約710kmの急ぎ旅をしてきました。この間の歩数は11,200歩でした。旅の職人だったかつての添乗員にもどり順を追ってビジュアルでご案内です。

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ちょっと見にくいですが、朱線が行程です。(拡大はクリックで)

                            ◆  ◆  ◆ 

 東京駅発7時38分金沢行きの「はくたか」で新潟県の糸魚川に向かう。

妙高高原あたりに近づくと期待通りの雪景色が車窓に広がる

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   あっという間の2時間19分糸魚川駅に到着

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北陸新幹線糸魚川駅ホーム
降りる人はまばら・・・。
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                           JR糸魚川駅南口

 ここ糸魚川は、相馬御風(そうまぎょふう※)の出身地である。 
と、いってもピンとこない人が多いと思う。だがこの童謡を聞いたこと、歌った人は多いはずだ。 

                      [るんるん]春よ来い 早く来い 
                        歩き始めたみいちゃんが 
                        赤い鼻緒のジョジョはいて 
                        おんもへ出たいと待っている

 御風は童謡「春よ来い」の作詞者である。街行く人は皆、みいちゃんのように春が待ち遠しいに違いない。

  車窓の景色とは違い駅前に立つと街路に雪はない。 駅の北側に回り、日本海を見渡す展望台に向かう。
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山も近いが海まで310mしかない。前日は吹雪だったとのこと。信じがたい風景が展開する。

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糸魚川市民憲章碑
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         駅北口にある奴奈川姫(ぬながわひめ※)像
         上図二つの像が手にもつ球は、この地の名産ヒスイである。

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高さ5mほどの展望台に着く
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日本海は予想に反し穏やかだった
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爺さんどこから来たんかね? と海鳥にカメラ目線で尋ねられる?
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べた凪の海に赤いタグボートが沖待ちの本船を迎えに・・・
かつては北前船が行き来した港の突端
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           展望台から海を背に振り返れば、目の前に黒姫山(1,222m)が・・・

 次に向かったのが雁木のある旧市街地

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雪国の知恵、雁木。青森県黒石の雁木と比べると頑丈で、かなり広々としている
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タイムスリップしたような街並みがつづく
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加賀の井酒造 
ここは蔵元であるが加賀の殿様の本陣でもあった。
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歴史を感じさせる看板
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街角の宝船。ここでは七福神ではない。よく見ると8人いる。
地元の神・沼河比売命(ぬなかわひめ)を加え八福神だ。
末広がりで結構なこと。
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ここは塩の道の起点でもある。これを記念した小公園があった。
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塩や北前船で運んできた物産を内陸部に運んだ牛のモニュメント。
牛の顔も江戸時代っぽくて?なかなかいい感じ。左は牛止めの石。
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単伝山直指院。
先述の相馬御風がこの寺で後半生を良寛和尚の研究に費やした。
境内には御風が揮毫した良寛の漢詩がある
余将還郷
   至伊登悲駕波     
    不預寓居于客舎
   聞雨凄然有作  
    一衣一鉢裁隋身  
    強扶病身坐焼香 
    一夜蕭々幽窓雨 
    惹得十年逆旅情
 「自分はいま故郷に帰ろうとして伊登悲駕波(糸魚川)にやってきて社人の家に投宿する。雨を聞き凄然として作あり。一衣一鉢(禅僧の托鉢の姿)わずかに身に従う。強いて病身を扶け香を焚いて座禅を組む。一夜蕭々(物寂しい夜こと)たり幽窓の雨惹き得たり 十年逆旅の情」・・・おおざっぱにいうとこんなところか・・・。
◆ 病に屈せず端然と座禅を組み、長い旅路 十年余りの岡山での修行生活を偲んだ心境が表れている詩である。

 この後、糸魚川駅から「えちごトキめき鉄道」の鈍行で直江津にむかう。

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えちごトキめき鉄道    
一両でも目立ちがりやのおしゃれ電車
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トンネルの多い路線だが、車窓から見る山の景色は旅情を誘う
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駅は立派だが乗降客はまばら
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誰もいない商店街に、だんごやの旗がむなしくなびく
 直江津では、駅前から海に向かう道を100mほど歩き、たった一軒しかないなじみの喫茶店に立ち寄った。

 ここのママさんは、かつて三島由紀夫や寺山修二らと演劇で活躍した78歳のおばあさん。前回は、顔立ちの整ったアルバイトの娘さんがいたが、きょうは姿が見えない。聴けば客に惚れられて結婚したとのこと。また重度の身障者のお嬢さん(ママの娘)は、神戸で焙煎業で独り立ちをした由。この店で使うコーヒー豆は娘さんから送られてきたものだ、と笑顔をみせた。めでたし、めでたし。店内は直江津にかかわりを持つ林芙美子の作品や思い出の品々を展示していた。

 客は私のほか、JR直江津駅の駅員さん二人だけ。「JRに寄付するつもりで日帰りで千葉からやって来ました」というと、「感謝、感謝!」と大喜び。 なにせ、北陸新幹線ができてからというもの、幹線から外れた直江津はまったく閑古鳥状態。かつて北前船で大いに栄えたこの街は、目下、死に体だと嘆く。

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林芙美子が精神的に疲れ切ったとき、こころを癒したのがここ直江津。
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約1時間後北越急行線(ほくほく線)に乗り六日市へ
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ハート型の吊革をみつけた。 たった一つしかないところががいい。
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下校中の高校生は雪景色よりスマホに夢中
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この雪景色が旅の目的。言葉はいらない。
 ほくほく線は、越後湯沢まで乗り入れているものもあるが、今回は六日町どまりだったため上越線に乗り換え5駅目の越後湯沢駅へ
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最後の下車駅 
昨秋来た時よりスキー客でにぎわっていた。
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越後湯沢は東京から新幹線で1時間20分。
しかも駅からすぐのところにスキー場があるため、冬は日帰りスキー客でにぎわう。
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昨年立ち寄ったホテル ここはコーヒーがうまい
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ロビーで最後の雪見をしばし楽しむ
このあと越後湯沢駅16時39分発の上越新幹線MAXとき332号で東京へ戻る。
18時丁度に東京へ着き旅を終える。
自宅に着いた時、歩数計を見ると11,206歩だった。
旅を終えての感想
日帰りでも十分楽しめる旅だが例年と比べ、あまりにも雪が少ない旅だった。
 [サッカー]


相馬御風=明治16年~昭和25年 叙情歌人、詩人、自然主義評論家、随筆家、そして良寛研究の第一人者として日本近代文学界に足跡をきざんだ糸魚川の文人。生涯をかけて文藝に打ち込み、7,000首を超える詩歌をつくった。また日本初の流行歌「カチューシャの唄」童謡「春よ来い」のほか早稲田や日大の校歌など550曲以上を作詞した。


奴奈川姫(ぬながわひめ)=古事記や出雲の国風土記には、高志の国の沼河比売命(ぬなかわひめ)と出雲の国の八千矛神(やちほこのかみ)こと大国主命(おおくにぬしのみこと)とのラブロマンス(通婚神話)がよまれている。糸魚川では姫川から流れ出たヒスイを加工して勾玉を作っていたため、これにからんだ話らしい。
                                
                            
後記:絵を描く時間が欲しくて、ブログ更新ができませんでした。昨日事前審査用作品を1枚提出し、ほっと一息と思ったら、先生からあと1~2枚描いてくれとのこと。再びきょうから描き始めました。そんなわけで「気まぐれ日記」はまた少し間をあけるかも・・・です。 
                                     ◆








タグ:紀行文
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コメント 12

般若坊

こんばんは。
1都5県で11,200歩・・・・相当な大ちゃく旅行ですね ^^
ホテルのロビーで雪見・・・これは雪国の雰囲気がいっぱい!ナイスです。
コーヒー美味しかったでしょうね・・・
by 般若坊 (2016-02-25 18:50) 

夏炉冬扇

いいですね、雪景色。
収穫多々の旅ですね。
by 夏炉冬扇 (2016-02-25 19:20) 

なんだかなぁ〜!! 横 濱男

いつもご訪問とコメントありがとうございます。
北陸・・・人が歩いていませんね。。
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2016-02-25 20:47) 

まりりん

雪見の日帰り旅行ってすてきですね♪
ハート型のつり革、よく見つけられましたね。
可愛い。
粋なことしたはりますね^^

by まりりん (2016-02-25 21:25) 

Jetstream

一日で? (@_@;) さすが旅慣れてますね。 東京から富山の立山へ日帰り登山する方もいるようです。 来月からは函館も日帰りが可能になりますね。 今年は、山でもかなり雪が少ない、驚きです。
by Jetstream (2016-02-25 21:41) 

saia

一都五県を1日で、、、すごい! パワフル!
とても真似できそうにありませんσ(^_^;)
春よ来い早く来い、今朝今年初めてウグイスの声を聞きました!
*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*

by saia (2016-02-26 08:08) 

馬爺

おはようございます。
やはり上手く乗り継ぐと列車の方が早いのですかね。
私は富山の里まで車で半日掛かります。

明日からパソコンのメンテナンスを行いますので暫くお休み致します。

by 馬爺 (2016-02-26 11:03) 

Chobi.H.YAOITA

日帰りで行けるんですね!
それにしても…2月なのに雁木に雪がない?
雪不足とは聞いていましたが本当なんですね(^_^;)

by Chobi.H.YAOITA (2016-02-28 23:57) 

ナツパパ

特急の運行が終わって、ほくほく線どうなったやら、と心配です。
鉄道が維持できると良いのだけれども。
by ナツパパ (2016-02-29 14:38) 

ゆきち

日帰りでこんなに美しい雪山と冬の日本海を楽しむことができるのですね!
直江津駅、昔々関西からシュプール号に乗って妙高高原方面へ行くと必ず停車する駅。
進行方向が変わって最初はびっくりしたような記憶があります^^;

by ゆきち (2016-02-29 20:00) 

okko

ご訪問有り難うございました。
こうやってみると、日本は広い!知らない所が多すぎます。
糸魚川では、今でも翡翠がとれるのでしょうか?
by okko (2016-03-03 11:16) 

花好き人

言葉のいらないという雪景色、その通りですね

うちの娘、み~ちゃん、今は34歳になるのですが小さい頃は
歩き始めたみ~ちゃんが~♪をよく歌ったもんです
by 花好き人 (2016-03-04 22:26) 

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