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国際墨画展が終わりました。 [水墨画]

昨日、国際公募墨画展『美は国境を越えて』が終わりました。

世界33か国からたくさんの応募がありました。

今年も多くの友人・知人、そしてブロガーの方々が

お寒いなか足を運んでいただき、ありがとうございました。

今回はコロナの影響が少ないためか

過去3年間で一番多くの人が来てくれました。

★来館者 山麓会-1.jpg

行きたいけれど遠すぎて、とか

体調が悪いので行けない、という方のために

ほんの少しですが

雰囲気だけでもお伝えしたいと思います。

過去掲載した自分の駄作も入れてあります。

悪しからず。


1. 2024.1入り口.jpg

正面入り口の大看板

この龍は墨友会会長によるものですが迫力満点です。


2.国際墨友会会長小林東雲先生の龍.jpg

国際墨友会会長・小林東雲先生の双龍


3.国際墨友会理事小林東晴先生 富士山.jpg

墨友会理事・小林東晴先生の冨士


前回のブログでも紹介しましたが、

今や世界のSUMIーE(墨画)時代です。

以下3枚は海外で学ぶ人たちのスナップ写真です。

16.海外の墨画教室.jpg

18.海外の墨画教室3.jpg

17.海外の墨画教室2.jpg

上図は昨年のAnniversary Albumから転載


まずは招待作家の作品から


6.日本水墨藝術協会会長・王子江先生.jpg

日本水墨藝術協会会長・王子江先生の作品



7.日本墨画協会 会長 松井陽水先生.jpg

日本墨画協会 会長松井陽水先生の作品

他にもありましたが省略します。


5.国際墨友会評議委員・中鉢東鳳先生の作品2.jpg

わたしの師匠。墨友会評議委員

中鉢東鳳先生の作品


以下は、一般応募作品ですが数百点あったので

自分がちょっと気になった作品2点だけを載せます。

9.柳の下のたらい舟冬の湖畔.jpg

余白の美を感じた作品


8.ロシア人のヨット.jpg

ロシアからの作品

クルーザーレースのようです。


上図は自分の趣味がセーリングなので

ちょっと気になった作品。

自分が描いた過去のセーリング作品は下図。

団扇ヨットレース-4_edited-1.jpg


つぎの二つも過去の応募作品です。


初応募作品-1.jpg

湖畔の月見

3年前に初応募した駄作です。

わが家は3人家族なので3羽の兎にしました。



12.★★軸装出品作品d-1.jpg

薩埵峠

2度目の応募作品

半世紀前、沼津に住んでいたころよく出かけた名所です。

広重の描いた「東海道由井の薩埵峠」の現代版です。


今回は、余白の美にウェイトを置き

シンプルな墨彩画に仕上げました。

手本が無いので

過去に描き溜めたスケッチの絵を参考にして

構想を練ること約一月です。



13.カラスウリ軸装.jpg

カラスウリと百舌鳥の早贄(ハヤニエ)

今回の応募作品。(半切軸装)


この絵を観て

「マンゴーってこんな形でなってるんだ」

という人が数名おりました。

都会に住んでいると

カラスウリを見たことが無い方がいるんですね。

ちょっと見にくいですが

上部を拡大すると、百舌鳥の目の先に

バッタのハヤニエがあります。

百舌鳥の尾羽の先の位置で右に目を移しますと

カエルのハヤニエも描いてあります。

これにも「なんでカエルやバッタが刺さっているの?」と

質問した方がおりました。

百舌鳥の習性を知らない人には違和感があるんでしょうね。

また、
「水墨画に色付けは、亜流じゃないの?」
という人もおりましたが
昔から山水画に見られるように、墨彩画は亜流ではありません。
絵の具は、顔彩です。

14.上半分.jpg

上部拡大

ここには百舌鳥の雄、バッタ、アマガエル、トンボがいます。


下部は、秋の野草を入れました。

これもわかりずらいと思いますが

背景にグラデーションで山並みを入れてあります。

最後の一筆ですのでうまくグラデーションに描けるか

緊張しました。

和紙に描いた後、軸装仕上げをするなら

満足ゆくまで描き直せばよいのですが

わたしは、白地の軸に直接筆を入れるので

一発勝負。いつも血圧が上がります。

15.下半分.jpg

ススキの穂だけで半日かかりました。



当初は、初夏の夜に咲くカラスウリの花(下図)と
対で2幅出品したかったのですが体力的に無理でした。
★SS夏のカラスウリ_5jpg.jpg
カラスウリの花。(試し描き)
夜に咲く妖艶な花です。
今回の展覧会を観て感じたことは、
絵画って平和だな、と思ったことです。
なぜなら、戦争当事国のウクライナとロシアの作品が
同じ会場に仲良くたくさん並んでいるのですから・・・。
「美は国境を越えて」の真髄を感じました。
会場にお越しいただいたブロガーのリュカさんと、
Boss365さんがご自分のブログに今回の展覧会の絵多数と感想を
詳しく載せておりますので、合わせてご覧ください。
[サッカー]
構想の背景は続き欄に記します。



絵に秘めたもの

作品の鑑賞者は絵の中から、いろいろな考えをめぐらします。

描く側は、すべてではありませんが自身の考えを絵で表現します。

わたしの場合は、

この展覧会が”世界の墨画展”というベースから、構想を練りました。

全世界を俯瞰的に観ますと

いま第三次世界大戦がはじまるのではないかという

混沌とした状況に置かれています。

戦争の無い平和な国・日本。とはいえ、

いつ巻き込まれるかもしれない危機的状況にも拘わらず

日本人は平和ボケをしているのではないかという疑問が

たえず付きまとっています。

これをどう絵に具現化するか?を考えました。

その結果がこの絵なのです。

穏やかな秋の風景のなかにグロテスクな

百舌鳥のハヤニエを入れたのは

スズメ目のかわいい小鳥に見える百舌鳥であっても

生きた小動物を串刺しにする怖い肉食性の鳥なのです。

ヨーロッパでは、百舌鳥を

「屠殺人の鳥」とか「絞め殺す天使」と言われています。

蝶やバッタを食べるトンボも同じです。

「うっかりしていると隣国にやられるよ」という

警鐘の意味を含めました。

隣国を象徴する色として朱色のカラスウリを選びました。

一見おいしそうなカラスウリは、

煮ても焼いても食えません。外見と中身はちがうのです。


忍び寄る危機、物事の本質を見極める目が必要ですよ、と

訴えたかったのです。

以上ですが、こんな理屈はどうでもいいのですがね・・・。






タグ:墨絵
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コメント 22

リュカ

「SUMIーE」って海外でも呼ばれているのですね。
なんか素敵だな。
海外の方達が笑顔で自分の描いた墨絵を持っての集合写真、これいいですね〜。
曉烏さんの過去の作品も素敵ですね。作品は一発勝負!その心意気もカッコいい!

by リュカ (2024-02-06 14:18) 

Boss365

こんにちは。
「美は国境を越えて」の展覧会、お疲れ様でした。小生ですが、ギリギリの4日・日曜日の朝1番でボスママとお伺いしました。海外の方の墨画作品を見て「墨画の広がり」と「自由な発想で描かれた」作品あり、大変興味深く楽しませて頂きました。また、仰る通りウクライナやロシアの墨画作品も出展され「平和な祭典」と感じる場面ありです。伝統的な墨画特有の素晴らしい描写・筆捌きに感動すると同時に、自由な発想?意外性ある描写「SUMIーE」に刺激を受けました。明日更新の小生ブログで「美は国境を越えて」の作品をブログアップ予定です。ところで「・・・いつも血圧が上がります。」の文字あり、この時期は特にお気を付け下さい「!?(=^・ェ・^=)

by Boss365 (2024-02-06 14:52) 

Take-Zee

こんにちは!
素敵な作品ばかりですね!
こういうのが描けたらいいなあ~!

by Take-Zee (2024-02-06 15:23) 

夏炉冬扇

カラスウリの軸いいですね。
畑脇にはまだ赤く生っていますよ。
by 夏炉冬扇 (2024-02-06 16:51) 

kiyotan

盛会に終わって何よりです。
会場でもこのカラスウリの赤は遠くからも目立ちました
赤の分量も効いていました。
一発勝負で描くなんてすごいですね
線がとっても綺麗です。
目の保養になりました。
また機会があれば観覧したいです。
私もブログに紹介する予定です。

by kiyotan (2024-02-06 17:58) 

kuwachan

『美は国境を越えて』の展覧会、無事終了とのことお疲れ様でした。
展覧会の名前のとおり世界各国から「SUMI-E」の応募があったとは
それだけ墨絵が世界に浸透しているということですね。
墨絵というと中国と日本だけのものかと思っておりまして
お恥ずかしい限りです。
一発勝負で描かれるとは素晴らしいです!
by kuwachan (2024-02-06 19:17) 

ChatBleu

ご訪問ありがとうございました。
誰だろう?と思っちゃったのですが、こちらにきて納得。
あの墨絵の方だったのですね。
一発勝負で描かれるのですか!すごいなぁ。
私は絵がメッチャヘタクソで、描く気がしないので、絵を描かれる方を尊敬しておりますー。
by ChatBleu (2024-02-06 19:27) 

OJJ

『美は国境を越えて』チラチラと見せて頂いただけでしっかり素晴らしさを感じます。墨絵でこれだけの見事な着色も刮目です。★★★!
モズの早贄がこれだけの高さなら今年はまだまだ雪が振りますネ! 逆さに突き刺されたカエルがとても印象深いです。
by OJJ (2024-02-06 21:30) 

Rchoose19

こんばんわ。ご訪問ありがとうございます。
自分は鳥さんの見分けがつかないような人間なのですが、
いろいろ覚えだしたことがあって、
モズの嘴は鷲とか鷹とかに似ているなぁと思ってましたぁ。
肉食系ですよねぇ~~。
『はやにえ』は、子供のころから知っていましたが、
実際に見たことはありません^^;
世界中の人が『墨』で絵を描いてるの初めて知りました!

by Rchoose19 (2024-02-06 21:34) 

斗夢

カラスウリの赤がいいですね!
最後の一枚が一番好きです。
by 斗夢 (2024-02-07 05:52) 

yoko-minato

じっくりと拝見させて頂きました。
墨絵が世界の多くの人たちに愛され
親しまれているのは驚きでした。
墨の持つ風合いにも惹かれますね。
暁烏 秀さんの2作品・・・素晴らしいですね。
赤いカラスウリも2枚目のカラスウリも
とても素敵な墨絵で見とれてしまいました。
by yoko-minato (2024-02-07 16:26) 

プー太の父

どれもこれも素晴らしい作品ばかりですね
今は外国人にも墨絵が人気あるのですか。
湖畔の月見もメルヘンチックで素敵です。

by プー太の父 (2024-02-09 08:29) 

Boss365

こんにちは。再訪ですが・・・
「制作までの経緯」製作意図、なる程です。
また「隣国を象徴する色として朱色のカラスウリ」・・・
気を付けたいですね!?(=^・ェ・^=)
by Boss365 (2024-02-09 09:08) 

お散歩爺

全てがカラーの世の生で墨絵は画像の良さを伝えてくれますね。
マンゴーが鈴生りですね(^_^)/*
by お散歩爺 (2024-02-09 09:15) 

JUNKO

大変楽しませていただきました。大勢の方が参加して盛会でしたね。
by JUNKO (2024-02-09 11:30) 

ヤッペママ

素晴らしい作品の数々 拝見させて頂きました。
バッタ、、アマガエル、トンボみ~つけた。
by ヤッペママ (2024-02-09 13:58) 

okko

素晴らしい作品ばかり!!墨絵は奥が深いです。
白と黒の世界に、色が飛び込むと又それが一段と冴えて。
感服致しました。
by okko (2024-02-10 15:15) 

暁烏 英(あけがらす ひで)

コメントを戴いた方々へ
過分なる賛辞、誠にありがとうございました。皆さんのコメントが励みになり、次回への挑戦意欲が出てきました。感謝です。
by 暁烏 英(あけがらす ひで) (2024-02-11 19:20) 

藤並 香衣

海外でもSUMI-Eなんですね
中国が発祥で中国風の呼び名かと思ってました
からすうりの鮮やかな色合いも秋の草もとても素敵です


by 藤並 香衣 (2024-02-11 23:05) 

せつこ

おはようございます^^
今日は、立派な文化に触れて良い1日になりそうです。
素晴らしい作品ばかりで、何度見ても居座りたい気分で見てます。
以前は、「何々展がある」、と言っては美術展を見て歩きました、今はあまりで歩くこともなくなりました。
素晴らしいメンバーがそろってエネルギーをいただいた気分です、アリガトウ(^^♪
by せつこ (2024-02-13 06:05) 

yokomi

日本人は平和ボケをしているのではないか....に1票(^_^)v 実際、ボケていると思います。チコちゃんに叱って欲しいです(>_<)
カラウスリは欲しくて、いつか山の道端から実を頂いてきて、敷地端の山際に植えたはずですが、忘れていました(>_<) 今秋探してみます(^_^;)

by yokomi (2024-02-16 14:28) 

横 濱男

墨絵は、いつもながら素晴らしいですね。
日本文化は、悲しいかな日本人より外国人の人たちが守ってくれそう。
by 横 濱男 (2024-02-18 09:23) 

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