古希+3の手習い その3、絵と画の違いってなに? [長く生きてりゃ・・・]
長く生きておりますと、いろいろな人に出会います。
首尾よくことが済み、呉先生から感謝のしるしとして
2016.10.10
明治神宮外苑のいちょう並木は、
これからしばらくのあいだ黄葉の美しさを楽しむ人でにぎわいを増す。
青山二丁目から歩き始めると並木の終点に「聖徳記念絵画館」がある。
絵画館と名の付く建物は全国にいくつかあるようだ。
しかし、多くの人は絵画という二文字の意味を深く考えずに作品を観ているようだ。
絵画とは、絵と画の双方を合わせた熟語(慣用句)らしい。
つまり紙や布の平面に墨や絵具を使って形象を描いた造形物の総称だ。
では、 絵とは何か? 画とは何か? がわからない。
日本で「絵」のつく作品には、錦絵、大津絵、大和絵、浮世絵などがある。
だが、なぜ錦画、大津画、大和画、浮世画といわないのだろうか?
一方、画のつく作品には水墨画、山水画、(鳥獣人物)戯画、版画などがある。
けれど、水墨絵、山水絵、戯絵、版絵などとは言わない。
何か理由があるはずだ。わたしの好奇心は深読みの行動に走った。
手元の資料では飽き足らず、ある時は画論・画法を記した古書を
台湾の故宮博物院で閲覧(余談だがここは閲覧だけなら無料)し、
またあるときは国内の美術関係書籍の閲覧をするために国会図書館に足を運んだ。
すると次のようなことがわかってきた。
①日本では彩色を施したものを「絵」と基本的には呼ぶ気配があること。
そして②東洋画のように墨線で表現したものを主に「画」とうのではないか
という考えに至った。しかし、「そのよう」であって断定はできない。
なぜなら、東洋画の代表的作品である水墨画は、
彩色されているものがむかしからある。
発祥の地・中国は盛唐の時代の呉道子以前は、極彩色の山水画もあった。
版画にも彩色刷りが結構ある。
だが歴史的にみると日本では当初版画は、
墨一色で刷られていたからこう呼ばれるようになったようだ。
彩色刷が施されてからは「浮世絵」などと「絵」がついた呼び方に
かわったと考えれば違和感はない。
では、(西)洋画のほとんどが油彩(色)なのに「洋絵」と言わないのはなぜだろう?
と新たな疑問がわいてくる。
16世紀に西洋では色付き版画が登場したけれど、
はじめて西洋から日本に入ってきた象形物(絵画)類は、
煤と油を練り合わせた絵具(凹版画の材料)で
描かれた版画だったのではないかと推理した。
ならば、彩色を含む絵画すべてをひっくるめて日本画というのは何だろうか?
頭が混乱してきた。
私たちは物や文化を比較する場合、同じ文字を並べたほうがわかりやすい。
最初に西洋画(洋画)ということばが生まれ、その対比として東洋画、
そして日本画という語ができたのではと考えてみた。
だが、これも推量の域を出ない。
どなたか知っている人がいたら教えていただきたいものだ。
世間で「水墨画」と一口にいうけれど、
これもまた調べてみると、いつごろ誰が何を根拠に言い出したのか
魑魅魍魎(ちみもうりょう)のような不確実な記述が次々と出てくる。
結論から言えば「藪の中」だが、このことについても次回に触れてみたい。
人との出会いは面白いですね。
いろいろなことで視点を変えたりできるので、今は楽しいことが多いです。
私は何でも観ることが好きです。実行はできないです・・・
黄葉が進んできましたね。肌寒い。。。
by green_blue_sky (2016-10-11 06:50)
絵と画・・・ むむむ・・・
by よしころん (2016-10-11 06:56)
絵と画・・難しいですね。
日本画は、絵と良く言いますね。
画は日本以外のモノ??
よく分かりませんが。。
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2016-10-11 07:03)
おはようございます^^
なるほど・・・はっきりしないが根拠らしきものはある、のかな。
ま、どんなものにも例外はあるから(@@こう言っちゃお終いですね^^
by mimimomo (2016-10-11 07:49)
鑑定団ものですね。
by 夏炉冬扇 (2016-10-11 22:11)
私は絵画のようなものは画、貼り絵や塗り絵などは絵ではないかと簡単なものが絵なのではないかと思います。
絵になる景色とかも云いますね。
絵画は両方使っていますからね。
by 馬爺 (2016-10-12 13:49)
面白い謎ですね!(^.^)
私もついつい考えてしまいました
内容は同じでも人によって画と絵が変わることがあります
戯画(僧侶言葉)、戯れ絵(庶民言葉)
画家(知識階級)、絵描き(庶民派)
日本画(現代人)、大和絵(平安時代人)
感じるのは視点の高さの違いです
「画」はとても高いところから全体を俯瞰して判断している雰囲気で
一方の「絵」の視点は低く、実際に手元にある物の名前です
画・ジャンルの区分(僧侶や知識人の学究的概念)
絵・紙に描かれた意味を持つ線(現場の実用会話)
図・仕組みや状況を説明する絵(絵のジャンルのうちのひとつ)
という風に私は感じました
カッパ釣り天狗を引く図は竜虎の戦いに似て楽しいですね(笑)
これを画と絵と図にすると
「日本画の、水墨画の、暁烏さんが描いた絵で、カッパ釣り天狗を引く図」
としてみたんですが、どうでしょう(^_^;)
by Chobi.H.YAOITA (2016-10-12 15:56)
Chobi.H.YAOITAさん
素晴らしい回答ですね。感心しました。このような視点分類ですと、説得力があります。YAOITA考は、知的レベルが高い! 大いに参考になります。ありがとう!
この説を応用すると春画は、知識人的視点であり、庶民が実用書として観る場合は「枕絵」になるのかな? なんとなく当たってますよ。
by 暁烏 英(あけがらす ひで) (2016-10-12 18:19)
絵と画の違いなど考えて見たこともないけど、おっしゃるように何かが違うのかも知れない。あるいは違ったのかも知れない。
美の中に人が置かれた時の心の安らぎから美を求める。か、美を求める心があるから、その反応として安らぎが与えられるか。
わからんことが多いかも知れない。
by DANKAI_Gen (2016-10-23 21:28)