気づきのない人 その3 成金自慢 [長く生きてりゃ・・・]
ロシア系日本人ジマンスキー氏の第3話ですが
北島三郎の演歌「歩」からはじめます。
一番、
肩で風切る王将よりも
俺は持ちたい「歩」のこころ
勝った負けたと騒いじゃいるが
歩のない将棋は負け将棋
二番
<前節略>
歩には歩なりの意地がある
いつか「と金」で大暴れ
(作詞: 関沢新一、作曲:安藤実親)
「と金」は成金とも言いますね。
「と金」=成金(歩兵が敵陣地に入ると駒が裏返って金将の動きができる)
将棋の歌ではこんなのもあります。
吹けば飛ぶような将棋の駒に
かけた命を笑わば笑え~
・・・・・・・・・・・・・・・・・
演歌「王将」の歌いだしです。
世の中には将棋の駒ではなく、お金の束に命をかけるひとが多くいます。
きょうは「成金自慢」ほか3つを続き欄に記します。
河童社長、預金通帳を並べて一人酔いしれる之図
(この絵の意は本文参照)
よろしかったら続き欄をどうぞ!
◆
5.成金自慢、
ある統計によれば日本人の大多数が「自分は中産階級だ」と思っているらしい。
しかし、物価指数からみた豊かさは、
先進国のなかでも低いところにあるのが現実だ。
この世の中、おかしなもので、すべてではないが他人の失敗談や不幸には面白がる。
その一方、他人の成功には表向き褒め称えはするが、
内心面白くないのが人情のようだ。
社会学者や心理学者は、これを人間の本能が持つ「嫉妬心」と言っている。
さて、「成金自慢屋」は、身近なところでも何人かいる。
そのひとりK社長の場合、裸一貫で一財産を作った立志伝中の男。
そこにたどり着くまでには異常なまでの金への執着があった。
年季奉公最後の世代で、かれは都内の建材店で身を粉にして働いた。
20歳で独立自営。建設業を営み財を築く。
都心にいくつものビルやマンションをもち、
牧場やゴルフ場も手に入れ、人もうらやむ身分になった。
ここまではよくある話だが、内容がいただけない。
かれの結婚式で仲人を務めた縁で
夫婦間の悩みごと相談に何度か立ち会った。
ある日、社長夫人がこっそり私にこぼした話は前代未聞であった。
創業以来、金は一切亭主が仕切り、奥方へは生活費だけしか渡さない。
仕事で遅くなると社長は、よく本社ビルの2階にある和室に泊まる癖があった。
ある日、急用ができて奥方が2階へ上がると、
畳一面に定期預金通帳を並べ、ひとり薄笑いを浮かべていたという。
その光景に背筋がぞっとしたそうだ。
とはいってもK社長は、ケチではない。
地方自治体、町内会、子供たちが通う学校に対し、
かなりの寄付もしているのである。
ところが、だれそれとなく、おれは金持ちだと自慢する。
人を見下したような口調が鼻もちならない。
一年中休みなく働き、趣味らしきものはほかにない。
かれにとっては金だけが唯一の「胸を張れること」のようだった。
働きすぎたのか50代半ばで死んでしまった。
なにかわびしい。
◆
6.学歴自慢、
第一話で記した「子供自慢」に似ている。
「学校はどちらをご卒業?」と訊く人がいる。
これもいただけない。
裏を返せば「わたしは名門〇×学校卒業なんです」
と自慢したいがための質問に聞こえてくる。
絶対言ってはならないことだ。
質問を受ける人のなかには、
学歴のない人、大学卒と言っても二流・三流の学校卒者もいる。
こんな人たちにとっては不愉快であろう。
この類は、学歴はあっても学力・良識がない低次元な人間である。
本当に頭のいい人は、このような下種な質問は決してしない。
また、このような問いかけをする人は、先日にも書いたが教育者に多い。
かれらの価値基準は、
生徒のペーパーテスト結果で人を評価してきたからであろうか。
世の中は広い。
学歴のない人でも、学力、見識、良識のある人物が
この世にたくさんいることを知るべきである。
一方、「自分は○×大学を卒業している」と、
ストレートに自慢する人もいる。
努力して有名校に入れたのだから、自慢も結構、
ところが話す内容に教養とか品位を感じない者がいる。
拝聴する側は、
「この程度の事しか知らないの? こいつこれでも大学卒? 馬っ鹿じゃないの」
と腹の中で冷笑を浴びせている。が、本人は気づかない。
誠に哀れだ。
◆
青白きインテリ河童之図
(頭でっかちは崩れやすい)
7.博識自慢(衒学)
衒学(げんがく)とは、おのれの学問や知識があることを
他人の前でひけらかすことである。
こちらが尋ねてもいないことを
「おれはこんなに詳しいんだ」とばかりにとくとくと語る輩だ。
自分は、時の流れを掴もうと見本市や最先端科学の展示会などに
よく足を運ぶのだが、ここでも知識自慢屋に出会う。
出展側のスタッフに向かって、
「おれはこのことについてこんなにも知識が豊富なんだ」とばかりに
難題を吹っ掛ける。
担当者が適切に答えられないと勝ち誇ったように
「社員なんだからもうちょっと勉強しときなさいよ」と
捨て台詞を言って立ち去る。片腹痛い。
もの知りは話題が豊富であるけれど、それを鼻に掛けては嫌われる。
日本人は、控えめが美徳なのだ。
◆
8.趣味自慢、
趣味にもいろいろある。が、度を過ぎて嫌われる人がいる。
趣味は個人レベルのものが基本である。
アゲハチョウをみて美しいと思う人もいれば、
気味が悪いという人もいて、人それぞれである。
だから、静かに自分だけ楽しんでいればいいものを、
これはいいものだからお前もやってみろ、と強いる人がいる。
いただけない。
自分はセーリングと登山、釣り、朝顔づくりなど多趣味なので
ゴルフをやる時間がないのでやらない。
というよりも、好きではないからやらない。
もうひとつ多くの人がやっているのに、やらないものがある。
麻雀だ。
むかし文士やジャーナリストが集まる日本麻雀連盟主催の大会に
師匠と同行したときのことだ。
前半はツキに恵まれ独り勝ち。ところが後半になって大敗を喫した。
そのとき卓を囲んでいた作家の吉行淳之介氏に
「オイ若いの、ここに来るの、百年早いぞ!」と嫌味を言われた。
たしかに日本の麻雀の歴史をみれば文士たちが世に広めただけあって
いまも文士に強い人が多い。
しかし、これも趣味の驕りみたいな言動である。
”勝てば官軍 偉そうに”・・とすごく腹が立った。以後、二度とやらない。
◆
かつてゴルフを命とするような某社長から、
「なぜ、お前はやらないんだ」と怒ったような言いかたをされたことがある。
こちらは体を駆使する競技スポーツ出身なので
「あれはスポーツと思えませんので・・・」と応えたら
「そんな考えだと人脈はできないぞ」と言った。
この人は、ゴルフが好きなのではなくて
人脈を作るためにしていたのか? と疑った。
この社長のオフィシャル・ハンデは6、もうプロ並みの実力なのだ。
が、このレベルになるまでには、相当な時間と努力を要する。
かれは時間の多くをゴルフに費やした。
二代目経営者として自身の置かれた立場を忘れていた。
数年後、この会社は大きな負債を抱えて倒産してしまった。
健康ならば、また再起もできようが、ショックで脳梗塞。
還暦前に世を去った。
つづく
「片腹痛い」ということばは、ちかごろあまり使わなくなった。見ていて滑稽だ、いたたまれない、いやな気がするの意だ。 本来は「傍(かたはら)痛し」で,そばで見ているのもやりきれない意。たしか『枕草子』の「かたはらいたきもの・・」の段にも辛辣な文章があったような気がする。
恩師とは、日本麻雀連盟第二期名人で、同連盟元会長。世界で唯一の麻雀博物館初代館長・大隈秀夫氏のこと。本業はジャーナリスト。麻雀博物館は、運営する竹書房の都合で2012年から休館中。
日本麻雀連盟の歴史については下記URLを参照ください。
http://www.nihon-majan.org/rekisi.html
◆
この項は、よくばって4つも書きました。
こんな拙文にながながと時間を割いていただきありがとうございます。
本来は2つ程度で辞めたかったのですが
次のファイナル「酒飲み自慢」が今日ぐらいあるためです。
お金なし、学歴なし、知識もなし ^^;
唯一趣味だけは持ち合わせていますが自己満足レベル ^^;
オーボラ・カチンクル・ジマンスキーさんは自身を客観的に分析することができない人なのでしょうねぇ。
by よしころん (2016-11-21 19:09)
何もないので猫自慢(^_^;)
by green_blue_sky (2016-11-21 22:33)
おはようございます^^
無い、無いと自慢するのもいただけませんが・・・しかし、わたくし、本当に何もないな~(><;
by mimimomo (2016-11-22 07:12)
いろんな人が居ますねぇ。
私が自慢できるのは猫の頭数ぐらいかな^^;
by ぽちの輔 (2016-11-22 07:43)
自慢する人いやすねぇ。
あっしの知り合いに、口を開けば自分か子供か孫の自慢をするご婦人がいやした。
相手が何かちょっとした世間話をふってもすべてその人は相手を見下し否定し自分の側の自慢話を始めます。
最近、あっしはその人と一切関わらなくてよい状況になりホッとしてやす。
by ぼんぼちぼちぼち (2016-11-24 13:28)
ぼんぼちぼちぼち さん
それはよかったですね!
こちらは残り少ない人生になって来たので、時間の無駄とばかりに、友人を選ぶようになってきましたよ。こちらに嫌われていることに気付かず、しつこく近寄ってくる知り合いもいます。「黙して語らず」が一番。
「モク(タバコ)吸って語らず」? これも一案ですが生憎たばこは、だいぶ前にやめちゃいました。
by 暁烏 英(あけがらす ひで) (2016-11-24 15:52)
green_blue_skyさん
ぽちの輔さん
ペット自慢は鼻につきませんよ。猫、犬大好き! でも爬虫類のペット自慢は嫌ですね。
by 暁烏 英(あけがらす ひで) (2016-11-24 16:00)
面白く拝見いたしました。!(^^)! 似たような人はまわりにいますし、いろんなブログを拝見します。 中には、自分はお金持ちだということが記事からガンガン自慢げに響いてきます。(笑) 海外旅行、ゴルフ、グルメ三昧、モノ三昧、それもいいでしょう。 でもやはり人間性と目線がマヒしてくる、そんな方が多いですね。 他山の石です。
私はお金で買えない価値がいいです。!(^^)! 金も十分ないけどまったく不幸とは思ったことないです。
このシリーズBookmarkさせていただきます。
by Jetstream (2016-11-25 23:14)
Jetstream さん
Bookmarkありがとうございます。Jetstream さんのおっしゃる通りです。度を超した自慢やは、裏返しますと心の貧しさからくるものと思うんです。山中や海上で単独寝起きし、人間とは?を哲学し、深奥な精神を磨いてほしいですね。肩書や銭金で虚栄を張る人間をみていますと、雪山をアイゼンなしで歩いているようで疲れますね。
by 暁烏 英(あけがらす ひで) (2016-11-29 21:53)