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気づきのない人 その4.酒豪自慢 [長く生きてりゃ・・・]

このロシア系日本人ジマンスキー氏の連載記事は、
今日でおしまいとします。
身近なところで観る人間模様をありのまま書いておりますから
なかには、これって、あいつのことかな?
いやいや俺のことかも?などと
複雑な思いで読んだかたもいると思います。
気分を害された方には深くお詫びします。
 

この連載で驚いたことがひとつあります。
自分のblogは、立ち上げてから4年目になりますが
このタイトルを載せてからアクセスが急に増えまして
自己最高を記録しました。
共感してくれたのか、コノヤロウ!と思いながら
読んでくれたのか真意はわかりません。
いろいろ問題はあると思いますが、今回で終わりにしますので
お付き合いください。
では「酒豪自慢」を続き欄に始めます。

SSかっぱ村長へのお酌.jpg
「大将、まだ飲むんですか?」之図

SS★河童法師『徒然草』起草之図_雅印入.jpg

<河童法師『徒然草』起草之図>

 9.酒豪自慢

『徒然草』第一段の最後の一行に、

兼好法師の酒に対する見解が載っている。

「下戸ならぬこそ、男はよけれ」・・・と。

つまり著者・吉田兼好は、

「男は酒が飲めた方が良い」と言っている。自分もそう思う。

だが、一方、徒然草第175段では・・・・(以下、現代訳)


〈 世間には、理解に苦しむことが多い。

何かある度に、まずは一杯と、無理に 酒を飲ませて喜ぶ風習は、

どういう事か理解できない。

飲まされる側は、嫌そうにしかめ面をし、

人目を見計らって盃の中身を捨てて逃げる予定だ。

それを捕まえて引き止め、むやみに飲ませると、

育ちの良い人でも、酒を飲むとたちまち乱暴者に変身して

暴れ出す。

健康な人でも、目の前で瀕死の重体になり前後不覚に倒れる。

これが祝いの席だったら大惨事だ。

翌日は二日酔いで、食欲が無くなり、うめき声を上げながら寝込む。

生きた心地もせず、記憶は断片的に無い。

大切な予定も全てキャンセルし、生活にも支障をきたす。

こんなにひどい目に遭わせるのは、

思いやりが無く、無礼でもある。

辛い目に遭わされた本人も、恨みと妬みでいっぱいだろう。

もし、これがよその国の風習で、人づてに聞いたとしたら、

異文化の不気味さに驚くに違いない。

他人事だとしても、酔っぱらいは見ていて嫌になる。

用心深く、真面目そうな人でも、

酔えば、馬鹿のように笑い出し、大声で喋り散らす。

ネクタイを弛め、靴下を脱いでスネ毛を風にそよがせる。

普段の本人からは想像できない醜態だ。

<中略>

それから、自分がいかに人格者であるか、

端から聞きけば失笑も辞さない話を演説し、

仕舞いには泣き出す始末である。

<中略>

 酔えば恥を晒し、迷惑をかける。

<中略>

大通りを千鳥足で歩き、塀や門の下に吐瀉物を撒き散らす。

<中略>

この世の酒は、事故を招き、財産を奪い、身体を貪るのである。

「酒は百薬の長」というが、多くの病気は酒が原因だ。

また、「酔うと嫌なことを忘れる」というが、

ただ単に悪酔いしているだけにも見える。

酒は脳味噌を溶かし、気化したアルコールは業火となる。

邪悪な心が広がって、法を犯す。〉・・・云々。(吾妻利秋の現代訳より抜粋)

引用が長くなったが、本題に戻そう。

時代は変わっても本質は何ら変わらい。

上記のように

相手が飲める、飲めないに関係なく「いいから飲め!飲め!」と

ひたすら同席の者に酒を強要する。

挙句の果てに「なんだ、これしきの酒の量で、もうだめか」と

勝ち誇ったような言い方をする人がいる。

こんな酒豪であっても酒の席で失敗をしでかす。

なぜか? 

それは、人間の性である。

人間は、その人が持っている短所では失敗しない。

たいてい長所の使い過ぎでつまずくのだ。

短所は常に意識下にあるが、長所は無意識になりやすいからだ。

わかりやすく言えば酒飲みは、ほどほどに飲んでいれば問題ないのだが

酒に強いという長所の使い過ぎで墓穴を掘るということ。

前回8の「趣味を強いる人間」となんらかわらない。

お国柄にもよる。

ロシア人などは、酒が強くないとすべての交渉事が進まない。

が、日本人に強要してはいけない。アルコールを吸収できない人が多いからだ。


またもやちょっと脱線するが社会人なりたての頃、こんなことがあった。

某東都大学の応援団長経験者が職場に配属されてきた。

びっくりしたのは、まともなレポートも書けないダメ人間であった。

こちらはもっぱらかれの代筆役であった。

体型は大きいが昼間は小さく見える。

しかし、人間どこかに長所を持っているもので、

対人能力がとても高く、酒豪であった。

この男、昼間はいつも居眠りをしているが、

夜になると目が夜行性大型動物のように輝きだし変身する。 

夜な夜な飲み屋街に繰り出しては、夜の帝王のような振る舞いをした。

神田にある社を出ると、まず近くから飲み始め、

神田末広町、四谷、新宿ゴールデン街と飲み続ける。

よく体力と金が続くなと感心した。

昼間の借りを返したいためなのか、

頻繁に誘いを受けるのだが、

ころ合いを見て席を外さないと翌日仕事にならない。

上野の「バッカス」から飲み始めて常磐線沿線を梯子し、

千葉県柏市のネオン街まで飲みに行った夜だった。

深夜一時過ぎになってこの男

「よっ、暁烏さん、今夜はこの女とつき合うから、ここでさよならだ」と消えてしまった。

残された同僚Tくんとわたしは生憎、宿代を持ち合わせていなかった。

仕方なく駅のベンチで電車の始発を待って寝ていたら、

「おう、若いの、こんなとこで寝ていちゃあ風邪ひくぜ」の声。

見ればそこにコワモテのお兄さんが立っていた。

一目でその筋の者とわかり身構えたところ、かれは優しくいう。

「汚ねえが、俺のアパートに泊まってゆきな。雨も降って来たしな。遠慮はいらねえ」

その声に甘えて、というよりも断ったらボコボコにやられる怖さがあったので泊まったのだが、

何か裏があるようで一睡もできなかった。

翌朝、別れ際に男は言った。

「見かけは悪いが、柏にはこんな男もいるってことを覚えといてくれりゃあ、

それだけで結構」

と言い、会社までの交通費と雨傘を渡してくれたのである。

このころは、まだ任侠道に通じるやくざ者が結構いたのである。

酒の自慢屋につき合い、最後は柏市でうっちゃりをくったが、

普段つきあえない男に出会え、

ほんわかする体験ができたから、ありがたいこともある。

酒はいいもんだが、度を過ぎないことだ。

最後にキーワードの「自慢屋」ではないが、これもいただけない。

「うちの子は、頭が悪くてやんなっちゃうよ」

という大人がいる。

医学的に述べると頭の良し悪しは親の遺伝子が影響するという。

つまり、親自身が無能がゆえの結果であることに

本人は気づいていない。これもお気の毒・・・。

[サッカー]


タグ:人間関係
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green_blue_sky

気づきのない人は世の中にあふれています(^_^;)
自分は違うと重い人も多数(笑)
みんな、思い当たることがあるのでしょう。
by green_blue_sky (2016-11-25 18:53) 

夏炉冬扇

適度なお酒が一番。
by 夏炉冬扇 (2016-11-25 21:56) 

mimimomo

おはようございます^^
ふふふ、お酒に関してはあまり人に言えない・・・でも今は大人しいです(^0^ しかし強要はいけないですよね。自分が楽しむお酒であることが大事だと思っています。
by mimimomo (2016-11-26 06:45) 

Jetstream

昔は酒で身を滅ぼした人も多かったでしょうね。いろんな意味でお酒の効用もありますが、何事も程ほどですね。(笑)
気づきのない人シリーズ、楽しく面白くまた、他山の石、自戒として読まさせていただきました。 自分の伝えたいこと、アピールしたいことと自慢の境目とマナーがわからない方、会社や社会ではよく見かけますね。 政治家なんてかなりあてはまる方が多そうです。
by Jetstream (2016-11-26 10:02) 

ゆきち

シリーズ楽しく読ませていただきました^^
酒飲みは飲みだすとどうしても長くなる・・・自分が飲みたいので人に強いたことはないつもりですが、若い頃、我慢して長い時間付き合ってくださった方が大勢いらっしゃるだろうと思うとちょっと恥ずかしいです^^;

by ゆきち (2016-11-26 17:37) 

よしころん

こんにちは^^
今回のシリーズは自身への戒めも含めて時々読み返したいなと思います。
挿絵もとても素敵で何度も拝見させていただきました♪
by よしころん (2016-11-27 09:29) 

saia

4回に渡っての「気づきのない人」シリーズ、とても面白かったです!
私はリアルの生活の中では自慢話をできる人がうらやましい方で、どうしてそんなに自分のことに自信が持てるんだろうと思ってしまう方です。
でももしかすると、自分では「これを言ったら自慢に聞えてしまうかも…」と心配なことも、コミュニケーションの場で相手に自分のことを知ってもらうためには役に立つ場合もあるのかもしれない、とも時々思うのですが、なかなか。。。
なのでブログでは、ちょっぴり自慢に聞えそうなことも思い切って書いてみたりしています(*´▽`*)

by saia (2016-11-27 21:14) 

暁烏 英(あけがらす ひで)

saiaさん
自慢できるものがないより、あったほうがいいんですよ。ただケース バイ ケースといいましょうか、TPOを間違えますと聞く人、観る人、読む人に不愉快な思いを与えてしまうんだと思います。自慢も過剰じゃなければ問題ないんじゃないかな。ぼくを含めブロガーの多くは自慢話じゃないかしら。心配はいりません。ぼくだって書きながら自己矛盾を感じていたんだから・・・。

by 暁烏 英(あけがらす ひで) (2016-11-27 23:17) 

michi

"ニヤリ”としながら読みました。なぜか我が身を振り返っていました。「今更反省しても遅いぞ-・・!」という声が聞こえてきそうです。挿絵いですね。私も何回か繰り返し見ました。
by michi (2016-11-29 15:31) 

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