花好き老人からの便り：気まぐれ日記：SSブログ

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花好き老人からの便り　[花と心象] [編集]

昨日からシルバーウｲークに入りました。
この呼びかたはゴールデンウイークと対比した造語なのでしょうか？
連休のなかに敬老の日があるからシルバーと呼ぶのでしょうか？
きょうは玄（くろ）※に近い高齢の人から届いた今夏の朝顔報告と近況について
続き欄に記します。

報告写真①：自作の支柱　幅6m,高さ3m。大がかりでなかなか立派な支柱だ。

報告写真②：：右下の文字に老人の誠実なお人柄がにじみ出ている。

写真報告③花数は少ないが丹精込めて作ったあとがみえる。

花好き老人からの便り

明日は敬老の日。
わたし自身、若い人たちから
敬（うやま）われてもいい年ごろなのだが、
身内のなかでは、まだ敬う側にいる。
自分より年上がたくさんいるからだ。

80歳以上を歳の順に並べると、
いとこのＫ(90)を筆頭に、
別のいとこの母親Ｆ（88）、義姉Ｔ(87)、
実の姉（長女）夫妻Ａ(86,84)、同じく次女である姉夫妻Ｍ(84,81)、
といった具合である。
ＫからＴまでは有料老人ホームに入居し、
あとの４人は老々介護である。
このようなケースは別に珍しいものではなく、
高齢化した今日では、どこの家庭も同じようなものかもしれない。
親の遺産を巡って骨肉相食む兄弟姉妹がいることも知っているが
幸いなことに自分の一族は和気あいあいと過ごしているから、
恵まれたほうかもしれない。

昨日、拙宅にスマートレター（小型特定封筒）が着いた。
開封してみると、なかに手紙と写真アルバムが一冊入っていた。
送り主は、この春、東京・小松川公園の桜見物の折、知り合った老人からだった。
公園のベンチで相席となり、しばし歓談しただけの人だ。

このときすでにかれは、80歳を過ぎており、
重い糖尿病を患っていた。
医師から「即、入院手術だ！」と言われているにもかかわらず、
断り続けていると小さな声でいう。
実行できない理由があるからだった。
かれには心を病んだ一人息子がおり、
奥方に先立たれてからずっと息子の面倒を看、
食事・洗濯等、家事一切をひとりでこなしているからであった。

雑談の中でかれは「花が好き」と言っていたので
帰宅後直ちに朝顔の種を「育て方手順書」と一緒に送った。
かれは、まさか送ってくるとは思っていなかったらしく、
大いに喜び、お金まで送ってきた。
こちらは趣味でやっている朝顔づくりなので、
金銭はもらえないと送り返す。

そのご、音沙汰がなかったから、
亡くなったのではないかと心配していた矢先の
結果報告レターである。

４枚の便箋は、几帳面すぎる文字でぎっしりと埋まっていた。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　①なんとかこの夏を乗り切ったこと。
②苗床を野鳥に蹴散らされたけれども、
祈るような気持ちで朝な夕なに苗に語りかけながら育てたこと。
③開花した朝顔を見た多くの人たちから笑顔をもらったこと。
④朝顔を育てていたこの半年間は楽しい日々を送れたこと。
⑤体の衰えが一気に進んできたが来年も健康ならば朝顔を育ててみたい。
とあった。

「長生きすると兄弟もいなくなりましてねえ」と語っていた老人が、
病身の息子を抱えながらの晩年は、さぞかし辛いことだろうと
拝察する。

役立たないかもしれないが、
「今年の種をまもなく送るから来年もごいっしょに花を愛でましょう」
と書いて励ましの手紙を結んだ。
　明日の敬老の日に届けばいいが・・・。