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雨の日に書いたもの [長く生きてりゃ・・・]

若いころ秋田市の歓楽街「川反」のお座敷で聞いたのですが、

秋田音頭の戯歌にこんなのがありました。


[るんるん]ヤ~トセー コリャ秋田音頭です。 

(ハイ キタカサッサ コイサッサ コイナ)←お囃子

 [るんるん]ジサマと、バサマの色事みたいなバルチック艦隊は

(ア~ソレソレ) 

行くの来るのと 行くの来るのと

掛け声ばかりで とうとう夜が明けた 

[どんっ(衝撃)]ドンドン←太鼓



10号進路予測.jpg

のろのろ台風10号は

日露戦争の時、ロシアのバルチック艦隊が

日本海側を進んでくるのか?

太平洋側から攻めてくるのか? 

国中が右往左往したときに似て、

日本中が振り回された2週間でした。

日露戦争には勝ちましたが、大自然の猛威には負けましたね。

外出できない分、こちらは墨絵描きや読書三昧です。

▲鯉としぶきの団扇blog.jpg

今日は「朝顔だより」をちょっとお休みして

雨の日にものしたエッセイを

続き蘭に載せます。

ちょっと長い文章ですがよろしかったらご覧ください。



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映画『太陽がいっぱい』ドロン24歳。


アラン・ドロンの影

2024.9.1

 話す相手が間違いだった。

「アランがあの世へドロンしちゃったね」

「それって誰っすか?」

 若者相手じゃ年寄りのジョークは通じない。わが青春時代は洋画全盛時代。今の若者はアニメ映画の全盛期に生きている。知らぬは当然。

 アランとは、ルネ・クレマン監督の映画『太陽がいっぱい』で一躍世界に名をはせたフランスの俳優アラン・ドロンのことだ。パリ・オリンピック終了直後88歳でこの世を去った。

  彼は1960年から1970を中心に活躍し、数多くの映画に出演した。記憶に残るだけでもロベール・アンリコ監督の『冒険者たち』、ルキノ・ビスコンティ監督の『若者のすべて』・『山猫』、ジャン=ピエール・メルヴィル監督の『サムライ』、ジャック・ドレー監督の『ボルサリーノ』、名優ジャン・ギャバンと共演したアンリ・ヴェルヌイユ監督の『地下室のメロディー』などがある。

 日本での観客動員数は、本国フランスを凌ぐほどの人気を博した。人気の陰りが見えた1980年でさえ『ドロンとともにディナーを!』というツアーに日本人女性が50,000人も集まっている。当時、ドロン人気の余波で多くの和製ドロンが生まれた。谷隼人、田村正和、草刈正雄などだ。


  自分は似ても似つかぬ顔の無名の男だが、かつて友人Nくんから「おまえは豪州の俳優エロール・フリンに似ている」と言われていい気分になった。ところがそのあとがいけない。「男の色気のエロと不倫(フリン)しそうなところがだよ」と言ったのだ。

戦前の名優エロールフリン.jpg
エロール・フリン

 余談はさておきアラン・ドロンの魅力は、とび抜けた美男子だがどこか影のある冷めたまなざしであろう。これは彼の生い立ちが影響しているようだ。

 1935年パリ郊外の街に生まれたアランは、両親の離婚後4歳で里子に出された。里親は刑務所の看守で、よく彼を職場に連れて行った。実父は出兵したあと再婚、母親も別の男と再婚。里親のところで6年間過ごしたあと、実母に引き取られるも再婚相手との間に娘が生まれていて、ここではアランの居場所がなかった。嫉妬と孤独の日々だったようだ。親は、彼をミッション系の宿舎に入れた。ここでは体罰が日常茶飯事に行われていて、彼もひどい体罰を受けた経験がある。彼を知る人は「アランは恐怖と暴力のなかで幼少期を過ごした」という。

 大人になってから、彼の度を越えた家庭内暴力は幼少期の体験によるものではないだろうか。数多い女性遍歴のなかで一時一緒に住んだロザリー・ブレーメンは鼻の骨を2回折られ、肋骨を8本も折られている。昨年まで事実婚状態にあった日本人女性ヒロミも友人への手紙の中で暴力を受けたことを記している。

 同父異母の弟がこうも語っている。

「兄は殴り合いの喧嘩が好きで、陽気さのかけらもなく狂犬のようだった」と、大スターになる前の彼を評している。また「兄は歓楽街で娼婦やヤクザな連中とつきあいがあって、ほとんどチンピラに近かった」とも言っている。

 彼は17歳でフランス海軍に入隊し、インドシナ戦争に従軍した。3年後、除隊。このあと約1年間アメリカとメキシコを放浪した。その後美貌と肉体美を買われ映画界入りする。

 ドロン・ブーム華やかりしころ、大戦での戦闘経験者からこんな話を聞いたことがある。「映画の中で拳銃の扱い方が他の誰よりもサマになっている。あれは実際に撃ったことがないものにはできない所作だ」と。また、映画評論家のK氏は、「かれは実際に人を殺めている」とも言った。1968年ドロンのボディーガード、ステファン・マルコビッチが射殺体で見つかった事件はつとに有名である。マルコビッチがドロンの妻と密通していたことが発覚、ドロンが犯人と疑われた事件である。ともに真偽のほどは定かではないが、今年の2月、銃に関する事件があった。彼の自宅から銃72丁と3,000発以上の弾薬が見つかった。いずれも不法所持である。趣味の域を超えているところを見ると、私見だがマフィアの武器を預かっていたのではなかろうか。

 ドロン全盛期、フランスで人気を博した男優は、もう一人いる。ジャンポール・ベルモンドだ。彼はドロンより3歳年上でシリアスなドラマからアクション・コメディーまで幅広いジャンルをこなし人気があった。映画『勝手に仕上がれ』などは数回見た記憶がある。『ボルサリーノ』ではドロンと共演している。このベルモンドも3年前、ドロンと同じ88歳でこの世を去った。奇縁である。

 著名人の訃報年齢をみると80歳代が大半を占めている。無名の私も行き着くところは同じで近い。[サッカー]


<参考資料>

アラン・ドロンの生い立ちについては、フランスの日刊紙『フィガロ』の電子版(2024.2.24)による。

 



※暑いとはいえ読書の秋、芸術の秋がやってきました。

[サッカー]


タグ:散文
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yoko-minato

私は若いころはアランドロンがどうしても
好きになれなくてあまり見ませんでした。
今はテレビで抑揚がをやりますのでいろいろ見ました。
アランドロンのどこかひねくれた影のような印象があるのは
育った環境で出来たものだったのですね。
4才から波乱万丈な人生を送ってきたことを知ると
好き嫌いは別にしてよくぞトップスター迄上り詰めました。
そして高齢になっても魅力的でしたね。
by yoko-minato (2024-09-03 17:16) 

OJJ

<太陽が一杯>のラストのシーンは印象的でしたが、そんな裏が有ったのですね~  日本の 乃木さんが 凱旋す スズメ メジロ ロシヤ 野蛮国 クロパトキン 金の玉 負けて逃げるはチャンチャン帽 棒で叩くは犬殺し シベリヤ鉄道長ければ バサンの年はハチジュウニ (寝起きの夢の中でエンドレスに・・困ったもんでアリンス) 失礼!
by OJJ (2024-09-03 17:47) 

Baldhead1010

台風は、今後も迷走と強大化が続きそうですね。
by Baldhead1010 (2024-09-03 20:05) 

kiyotan

顔が綺麗すぎてあまり好きな俳優ではなかったけれど優しそうだったのでいい人じゃないかと思っていたのですが暴力を振るっていたのですね 育った環境がとても影響しているんですね 

by kiyotan (2024-09-03 20:52) 

暁烏 英(あけがらす ひで)

yoko-minatoさん
kiyotanさん
ぼくもドロンは、キザすぎて好きではありませんでした。例えば紙巻きたばこを閉ざした唇で左から右へ滑らしてからくわえるしぐさが嫌いでしたね。むしろベルモンドやもっと年上の渋い名優ジャンギャバンの方が好きでした。

by 暁烏 英(あけがらす ひで) (2024-09-03 22:26) 

テリー

アランドロン、なんといっても美男子だから、もてても、おかしくないですが、あまり、映画は、見ていません。
うろ覚えでは、フランスの戦闘機開発にも、お金を出して、協力したのではなかったでしょうか。途中から、事業家になっていったように覚えています。
by テリー (2024-09-03 22:54) 

kuwachan

アラン・ドロンというと映画よりもダーバンのCMの印象の方が強いです。
by kuwachan (2024-09-03 23:16) 

Take-Zee

おはようございます!
日本中を翻弄した台風10号でしたね・・・
これだけ進路予想が変った台風も珍しいです。
気象予報士泣かせでした・・・(^-^)!!
by Take-Zee (2024-09-04 08:01) 

せつこ

絵画ばかりか何でも知っている博士、ブログと言え巡り合ったことに感謝してます。
アランドロンのプールいっぱいに、盗んだお札が浮いた映画を思い出してます。
日本ではマスクの良い人は正義の味方で、フランスでは犯罪役をするのか~~と思ってましたわ。
by せつこ (2024-09-04 09:47) 

暁烏 英(あけがらす ひで)

せつこさん
歯が浮くようなお言葉、お世辞がうまいね。博士にゃ程遠い人間ですよ。無教養、無分別、穴があったら入りたい!
 あなたの思い出にある「札束がプールに浮いた」映画は、ドロンがジャンギャバンと共演した『地下室のメロディー』のラストシーンですね。
フランス映画の特徴は、アメリカ映画のようなウケの良いポップな映画ではなく、物事の神髄を突くような作品が多くハッピーエンドよりも悲しみ・落胆で終わる映画が多いですね。小説もしかりです。

by 暁烏 英(あけがらす ひで) (2024-09-04 11:27) 

いろは

こんにちは^^
アラン・ドロンの「太陽がいっぱい」は観ました。
でも、他の映画は観ていないと思います。
生い立ちを知り、どこか影があるのはその為かと...
「エロール・フリン」も知っています。
姉が洋画好きで、多分好きだったような気がします^^
確かに、容姿は英さん似ていらっしゃいますね。
さぞ、もてた事でしょう(今も?)^^
by いろは (2024-09-04 11:31) 

yokomi

ヨットの件ですが、小説や歌詞等は現実にそぐわない内容も有るかと。作者や校閲が知識不足だったり、作者の感覚で変えたモノもあるようです。
by yokomi (2024-09-04 15:16) 

暁烏 英(あけがらす ひで)

いろはさん
エロール・フリンを知っている人は少ないですよね。
僕は青年時代、洋画ばっかり見ていました。
映画は実益も兼ねていました。
仕事柄、外国語を映画から学ぶためです。
ある時、アメリカ人のガールフレンドと西部劇を見に行ったのですが、彼女は不機嫌。その理由はマカロニ・ウエスタンだったからです。こちらは字幕でストーリーを追えましたが、イタリア語、日本語のわからない彼女はチンプンカンプンだったのです。
ぼくは軟派ではありませんが、女性に限らず僕の周りに人がたくさん集まるのは「容姿ではなく、話がとても面白いのと気配りの良さから」と他人は言います。ま、玄人筋にはモテた方かもしれないけど・・?。
そういえば客(ぼく)の取り合いでクラブのホステス同士が喧嘩し、ライバルの高価な着物を燃やしたなんて事件がありましたね。
by 暁烏 英(あけがらす ひで) (2024-09-04 22:59) 

向日葵

アランドロン。。
小2の春にTVの洋画劇場で初めて見て、死ぬほど恋漕がれました。
なんともまあ、母と同い年。
周りからは「なんであんなおじいちゃんが良いの?」
と聞かれながら。。
最近ではもう知る伊jとも少なくなり、‘X'haFBなどでも
リクエストしても話題に挙げてもらえず、悲しかったのですが、
訃報が届くや否や、あっちでもこっちでも特集を組んでいます。
「これ」を逃してなるものか!!
記事を追いかけていると「あっ!」という間に時間が過ぎます!!
by 向日葵 (2024-09-07 04:01) 

横 濱男

アランドロン、亡くなっちゃいましたね。
あと、ジャンポールベルモンドやブリジット・バルドーも好きでした。
by 横 濱男 (2024-09-08 10:48) 

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