信念の人 [長く生きてりゃ・・・]
―気まぐれ日記―
信念の人の欠点
人間は、一度信じたところの主義主張というようなものを絶対視する傾向がある。このような人を「信念の人」という。すばらしいことでもあるが、欠点もある。
仏教でいうところの生々流転のことわりからすれば、これは危険をはらんでいる。なぜか?
世間は時々刻々と変化しているのである。型にはまった思考停止状態の信念の人は、時代に取り残されてしまうのだ。
では、本当の信念とはなにか?ということになる。それは次のようなものではなかろうか。
本当の信念とは、真実への正しい志向であり、生々流転の世の中を何が真実であるかを如実に見極める英知でなければならない。言い換えれば、真実道に精進する人のことであろう。
自分は青年期、甲斐政治先生※が主宰する『海舟会』に属していた。勝海舟の生き方に学ぶ研究会である。海舟の『氷川清和』のなかに次の一節がある。
「世の中のことは、時々刻々変遷窮まりないもので、機来たり、機去り、その間に髪を容れない。こういう世界に処して、万事理屈をもって、これに応じようとしても、それはとても及ばない。世間は生きている。理屈は死んでいる。」
なんとも痛快。的を射た力強いことばではなかろうか。これは先ほど書いた仏教の生々流転とおなじで諸法無我のことわりを自らの体験から学び、これを現実に生かした境地だからである。竜馬が姉に送った手紙のなかで記したように海舟は「当代日本一の人物」だったに違いない。同時に、それを見抜いた竜馬の観察眼もタダものではない。同じレベルだからこそ、それを見抜けるのである。
翻って、日常生活のなかで出会う人間のなかには、知り得た知識や事象が真実であるかどうかを深く考えもせずに信じ込み、主義主張を頑固に押し付ける衒学ぶった者が多い。偉そうに主張する大部分は単なる概念にすぎないことに気づかない。頑固者に世間知らずが多いのは思考回路が停止状態だからである。
※甲斐政治先生:1952~55年、宮崎一区から出た元衆議院議員。晩年(昭和50年代)船橋市に住み勝海舟の生き方に学ぶ『海舟会』を主宰していた。先生の旧制浦和高校時代の同期生に今日出海氏(小説家、初代文化庁長官、今東光の弟)や、京都大学で長年サンスクリットの研究をし、後年佛教大学教授になられた善波周先生などがいる。青年期、今先生以外のお二人には直接師事し大変お世話になった。とくに善波先生の教えは、自分の生き方に影響を及ぼしている。◆
こんにちは^^
ともすると、年を重ねると自分の思いを頑なに
主張する傾向がありますが、出来れば私は頭を柔軟に
して色々な方の意見に耳を傾けていきたいと思っています。
そして謙虚さも忘れずにいたいと思います^^
by いろは (2021-10-01 14:21)
こんにちは!
むかし・・どこかで見かけたオヤジみたいです!!
by Take-Zee (2021-10-01 16:04)
信念をゴリ押しするような人は苦手です。
そういう人の前では自分の考えは押し殺し
黙るしかないからです。
by きよたん (2021-10-01 17:09)
いいお話伺いました。感謝。
by 夏炉冬扇 (2021-10-01 17:42)
「ぴこった」ではなく「はびこった」です。竹の根が「はびこって」どんどん押し寄せてきます。
by 夏炉冬扇 (2021-10-01 18:06)
井の中の蛙になりがちです。
もっと心を広くして、と、いつも思っています。
by Baldhead1010 (2021-10-01 20:08)
コメントありがとうございます。
by katakiyo (2021-10-02 06:43)
今晩は~~
読んでいるうちに自分のことかと思いました。
考えると確かに思考回路が停止してます。
by せつこ (2021-10-02 20:30)