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新旧電話ボックスの使い方 [長く生きてりゃ・・・]

きょうは写真がありません。
記憶をたどってむかしの電話ボックスのラフスケッチのみです。
このスケッチには、なぞが秘められています。答えは続き欄を・・・。
SS公衆電話ボックス.jpg
昭和30年代の公衆電話ボックス
  ◆ ◆ ◆

       

   新旧公衆電話ボックスの使い方

 3月5日の読売新聞朝刊『編集手帳』を読んで

忘れていた記憶がよみがえってきた。

コラムの内容は、携帯電話やスマホの普及で公衆電話が使われなくなり

NTT東日本は赤字対策として電話ボックスを無線ラン「Wi-Fi」の設置場所として

地方自治体に貸し出すというはなし。


 文章の導入部分で、フォークソンググループ「かぐや姫」が歌った

『赤ちょうちん』(詞・喜多條忠)の歌詞が引用されていた。

 それはその時代を生きたものでないと理解できない情景描写なのだが、

裸電球ひとつのアパートで暮らした若い男女が歌われていて、
                 

  [るんるん] あなたと別れた雨の夜 
                     公衆電話の箱の中
                       ひざを抱えて泣きました・・・・・・とある。
 

当時の公衆電話ボックスは、

ここに描いたスケッチのように下半分が見えないようになっていた。

しゃがんで泣くには他人から気づかれぬ丁度良い空間だった。

なにか切ない情景が浮かび上がる歌詞だが、

このように当時公衆電話ボックスは本来の通信手段だけでなく多様性があって、

一部の者に愛されていた。

たとえば未成年者の喫煙場所、不良少女の更衣室、追われる者の隠れ場所、

ネオン街では夜の蝶の憩いの場所として使われていた。

 ある夜、といっても、すでに東の空が白んできた時刻に、友人とほろ酔い気分で

新宿のゴールデン街を歩いていて

電話ボックスの前を通り過ぎようとしたときだった。

水商売と思しき女性の頭と高価そうな着物の襟が窓越しに見えた。

病気でうずくまっているのかと思い、ドアーを開けようとし近寄ったら

「きゃ~!」と大声をあげられた。

「何やってんだ、病気じゃないの?」といえば、「ヘンターイ!」と叫ぶ。

こいつそうとう酔っているなと、

友人に目くばせをしたあとドアー下部に目を移すと音もなく動くものが・・・。

ボックスの中から通路側に水がにじみ出ている。涙にしては多すぎる。

もう、お分かりと思うが、彼女は我慢しきれなくなって、

電話ボックスで用をたしていたのである。

どちらも「公衆」と名はつくが、これはいただけない。

履き違いもはなはだしい。

 夜の蝶たちは、商売柄かなりの量のアルコールを飲んでいる。

店を跳ねた後、三々五々家路につく途中で、

小用を我慢しきれなくなって駆け込む先がこの公衆電話ボックスだったのである。

たいていは連れのひとりが見張りをしている間に用を済ませるのだが、

このときは独りだったから、彼女も必死にドアーの取手を握ったのだ。

 そのごも、銀座のクラブで飲んだ後、ホステス二人を連れて「寿司でも食べようか」と

新橋の烏森方面に向かって歩いているとき、

そのうちのひとりがまったくおなじ行動をとった。

公衆便所が少なかった時代、電話会社には失礼な話しだが、

ありがたい空間だったのである。

悪臭やごみ捨て場代わりに使われる被害が多かったためか

電電公社(いまのNTT)はそのご、ボックスの形状を足元までみえる設計に変えた。

 Wi-Fi導入後の公衆電話ボックス利用方法をじっくり考えてみたい。

                                       [サッカー]

[番外編]

 話はそれるが新宿のゴールデン街に限らず当時店内にトイレがないバーは多かった。一旦店の外へ出て共同便所(公衆便所とは違う)で用を足すのであるが、当方のような凡人と違って有能な作詞家にとってはこれもひとつのヒントになる。
 

 水前寺清子が歌ってヒットした『押してもダメなら引いてみな』誕生の秘密は、作詞家・星野哲郎が飲み屋の外の共同便所に行ったとき、何度も扉を押したが開かない。そこでちょっと引いてみたら空いた。つまりこの扉は外側に開く構造だったのだ。かれはこの経験を基に一気にこの詞を書き上げたと聞く。真偽は定かでないが・・・。

             参考:『押してもだめなら引いてみな』の歌詞
      A面

             1、ほんとの力は ちがっちゃいないさ 押してみな
               押してもだめならひいてみな それが男の切り札さ

               長い坂道 荷車押して 登ってゆくのが人生さ

             2、望み巨けりゃ車も重いさ 押してみな 
               押してもだめなら引いてみな
               空でお陽さま みているぞ

               好きになったら 好きだと言えよ だめなら笑って さよならしろよ

             3、いかなるときにも 明日を残して 押してみな 
               押してもだめなら 引いてみな 空は男の青空さ

     B面???
             1、昨日も今日も ボトルを開けて 客に勧める夜の蝶 
               自分も飲めば 出るもの多い 入ってしなさい電話箱 

             2、飲む量多けりゃ もよおし多い 押しちゃダメ 
               近くで見つけよ電話箱 自然現象止めちゃダメ

             3、公衆面前恥ずかしい つつましやかに我慢しな
               我慢が出来なきゃ出してみな それは便利な電話箱

             4、出したくなったら したいと言えよ トイレないなら 
               駆けこみゃいいさ ほんに便利な電話箱 

              終えりゃ気持ちは青い空 これが女の救い箱

:上記B面歌詞は、作者不詳。巷で歌われていたもの。

                              [新月][新月][新月]


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コメント 8

なんだかなぁ〜!! 横 濱男

電話ボックスが懐かしいです。
見えないから悪さする奴もいましたね。(^▽^)

by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2016-03-08 19:46) 

ぼんぼちぼちぼち

あら・・・電話ボックスがそんなふうに使われることがあったとは知りやせんでやした(◎o◎:
by ぼんぼちぼちぼち (2016-03-08 20:22) 

ゆきち

携帯電話などなかった青春時代、親に聞かれたくない電話をしに、
近所の電話ボックスまで出かけていました^^;
さすがに公衆トイレ代わりに使われていたことがあるとは初耳です・・・。
by ゆきち (2016-03-08 21:35) 

Chobi.H.YAOITA

本当に便利な箱ですね!(笑)
by Chobi.H.YAOITA (2016-03-09 01:09) 

夏炉冬扇

ボックスから☎していて、眠り込んだことあります。
青春時代、なつかしい。
by 夏炉冬扇 (2016-03-09 08:01) 

美美

電話ボックス、懐かしいです。
学生時代叔母の家に下宿していて電話はあったのですが
実家に電話したい時は一つ手前のバス停で降りて電柱横の電話ボックスから
電話をしていたことを思い出しました。
by 美美 (2016-03-09 20:46) 

saia

現在電話ボックスはどんどん無くなって、街中でも見かけるのは珍しくなってきていますね。
家にあるテレホンカードの束、どうしよう・・・

by saia (2016-03-10 16:08) 

yoko-minato

そんな使い方をする女性もいたのですね~。
ちょっと信じられませんが確かにトイレが
見つからないと焦ってしまいます。
by yoko-minato (2016-03-11 07:17) 

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