その2、 オリンピックの聖火と聖火リレー [長く生きてりゃ・・・]
ことし一年の整理、年賀状書き、大掃除など、
どこのご家庭でもその準備や作業に追われていることとおもいます。
スポーツ馬鹿のわたしにとりましては、
年末から予選が始まる正月の全国高校サッカー選手権をはじめ、
実業団駅伝、大学箱根駅伝、さらには高校・大学ラグビーの動向が気になります。
とくに来年は、4年に一度のソチ冬季オリンピックとサッカーのワールドカップ選手権が行われる年です。
そんなわけできょうはオリンピックにつきものの聖火について書いてみました。
スポーツにご興味ない方でもわかるような内容です。よろしかったら続きをお読みください。
これは聖火? 聖花?
聖火と聖火リレー
2013~2014国際競技連盟フィギアスケートのグランプリファイナルが終わった。男女とも日本が優勝する。ノルディックスキーのワールドカップ・ジャンプ男女混合団体戦も優勝。女子の個人ジャンプも開幕戦で優勝。昨日は女子カーリングチームがオリンピック最終予選1次リーグで格上のドイツを破り4連勝と幸先の良いスタートを切った。冬季オリンピックを間近に控えいいムードである。
2014年冬季オリンピックは、黒海に面したロシアのソチで行われる。オスマントルコ時代以前から開けた歴史ある町で、競技はオリンピックパークと西カフカース山脈のソチ国立公園内で開催される。ここは気候温暖にして風光明媚なロシア一の保養地で、かのスターリンがダーチャ※を設けて以来、ソ連最大のリゾート地になった。以後フルシチョフ、ブレジネフ、アンドロポフ、チェルネンコ、ゴルバチョフ、エリツィンら旧ソ連の指導者が必ず余暇を過ごしていたところだ。現ロシア大統領プーチンもここにかなりのご執心のようである。
さて、オリンピックにつきものの聖火は、ギリシャの巫女さんたちにより太陽の熱を凹面鏡で捉え採火される。このくらいのことは誰でも知っていること。だが、我々がTVでみている採火儀式はマスコミ用の演技である。本当は誰にも見せないところで行われている。これは意外に知られていないようだ。何も隠すほどのことではないじゃないか、放火犯でもあるまいし・・・・と凡人は下種な勘繰りをしてしまう。実際はライターで点火するような、がっかりするやり方なのだろうか? このことをギリシャ通のHくんに尋ねてみることにした。かれは国立大出のインテリであるがギリシャ観光の折、学者風の男から「普通の観光客は知らない、とっておきの遺跡を案内しよう」と誘われ、ノコノコついて行ったら、これが追剝(おいはぎ)で身ぐるみとられた経験の持ち主である。以来ギリシャについて猛勉強した知識人だ。こちらの質問にいとも簡単に答えた。
「巫女たちが一糸まとわずスッポンポンでこの儀式を行うからだ」と即答する。そうなのか!と驚きをもって感心したら、舌を出した。人間味のあるインテリである。
なぜオリンピックに聖火が灯されるのだろうか? 調べてみると古代オリンピックのころから開催期間中灯されていたらしい。火は人間にとって古代から神聖視されていたことは既知のとおりであるが、古代ギリシャ人にとっての火はプロメテウスが神々の元から盗んできたものとされ神聖なものだった。このため聖火は競技場だけでなくオリンピアの丘に建つ多くの神殿に見られた、とある。
古代オリンピックが終焉してから1,500年の時を経てフランス人、ピエール・ド・クーベルタンの提唱に世界の国々が賛同し、近代オリンピック競技大会が誕生した。第1回の近代オリンピックは1896年に古代の歴史に鑑みギリシャで始まった。このとき実施された競技は、陸上、水泳、体操、レスリング、フェンシング、射撃、自転車、テニスの8競技。参加選手人員は、男子だけの280人だったそうである。予定に有って実施されなかった競技がひとつある。それは当方も愛好するヨット競技である。天候不良のため中止になっている。日本ではマイナースポーツだが、ヨット競技は歴史あるスポーツなのである。
話がそれたが、近代オリンピックでの聖火については、初回から7回目までは無かった。1928年のアムステルダム・オリンピックで導入。この聖火がなかなか好評で設計者が金メダルをもらうほどだった。以来聖火はオリンピックの一部になっている。
冬季オリンピックの聖火についても調べてみた。おもしろいことに、最初の冬季オリンピックから数回は、聖火がオリンピアではなく、ノールウェイのスキー・スポーツ開拓者の家の暖炉から採火していることだ。ローマで採火されたこともあるから、統一性はないらしい。ならば、と考える。
将来は、各国選手がそれぞれの国のロケットで国際宇宙センター(ISS)まで行き、ここから宇宙服を着たまま地球に向かってスタート。地上までの距離をいまのポールの代わりにオーロラをくぐり抜けながら競う「アルペン宇宙飛翔レース」を自分が考案すれば、わが家の炬燵から採火すること、可能である。
聖火リレーが始まったのは1936年のベルリン・オリンピックからだそうだ。つい先年まで採火された聖火は、世界各国をリレーしながら、開催国に向かうのが慣例になっていた。しかし、国際オリンピック委員会は、2009年世界規模のリレーを禁止した。そのきっかけとなったのは、聖火が酸素希薄なエベレストを超えたり、ど派手な演出を展開した北京オリンピックである。英国、フランス、インドが、中国のチベット弾圧に抗議して聖火を3度消してしまったからだ。リレーとは繋ぐことに意義がある。これを消したら台無しである。
他国のことと笑えない。長野オリンピックでも消えている。この原因は、政治的なものではなく、単なる構造的な問題から起こった。設計上のミスで傾けて走ると消えてしまい、立てて走ると油がこぼれて聖火を持つ手がやけどするという不具合が生じたからだ。
聖火リレーは、大会を盛り上げようと行われるのであろうが、消えた火をまた点け直して走るのはフェア・プレイをモットーとするスポーツ精神に逆行する行いである。なにか滑稽にみえるのはわたしだけなのだろうか・・・。
ソチ・オリンピックの聖火リレーは、上記のような事情から、世界を回らない。しかし、これも無粋だ。バイカル湖の湖底に潜水しながら聖火をバトンタッチしてみたり、砕氷船に乗せて北極点に運んだりしている。とくにおかしいと思うのは、陸海のリレーを中断して宇宙に聖火を運ぶという企画だ。ISSのなかで火を燃やすことはあまりにも危険である。無重力のなかで炎が上に向いて灯り続けるわけがない。かつてアメリカでもこの話が持ち上がったことがあるが中止している。米国の技術を凌駕したのかと注視していたところ、なんとイミテーション(炎を出しているように見せかけた)トーチをソユーズロケットでISSに運ぶのだそうだ。じつに馬鹿げたことだと思うのだが・・・。
過去のオリンピック聖火台点火で一番の醜態を見せたのは、なんといっても1988年のソウル・オリンピック開会式であろう。平和のシンボルである鳩を点火前に放鳥したため、点火台のてっぺんでオロオロしていた鳩が点火と同時に何羽も焼け死んでしまった事件だ。「観客に焼き鳥を食べさせてやろうとしたのか?」と世界中から揶揄された。笑うに笑えない聖火の効用?である。
なお、日本で行われる国民体育大会などスポーツの祭典時に競技場に焚かれる火は、聖火とは言わない。炬火(きょうか)という。
聖火を北極点に運んだロシアの砕氷船
イミテーション聖火トーチをもってISSに向かう宇宙飛行士
[意訳]
ダーチャ:ロシアの金持ちたちが、週末に過ごす別荘。山小屋のようなものから、立派な屋敷のようなものまである。なかにサウナを備え、庭では農作物を作ったりしている。ロシア式コーテージ。
[後記] 聖火はなにもギリシャだけがご本家ではありません。イランやインド、この日本にだって大昔からあります。次回は日本の不滅の燈火・聖火とそのルーツについて書いてみたいと思います。
しばらく更新がないので、体調を崩されたかと気がかりでした。
でも、これだけの内容を綴られるのですから大丈夫ですね。
聖火については余りに膨大な内容で、とても覚えきれません。
お恥ずかしいことです。
ユキモチソウから聖火を連想なさる感性に感服いたしました。
by 見守りびと (2013-12-14 23:42)
聖火に似てますね。。
by なんだかなぁ〜!! 横 濱男 (2013-12-15 11:34)
巫女さんの話、私も納得してしまいました(笑)
あの頃の壺の絵をみると
そういうことになっていますからね(^^;)
by Chobi.H.YAOITA (2013-12-15 23:52)
巫女の聖火にビックリ・・・その変遷の歴史・・大変勉強になりました。
深く広い博学に驚いています。 ありがとうございました。
成果のルーツもイイですが、悲喜交々のノンフィクション人生ドラマが
楽しいです・・・・・。 よろしく。
寒くなりましたご自愛されブログ宜しく。
by 谷津ひろし (2013-12-16 16:12)
年末モードですね。
いつもの場所は写真を観るとわかるでしょう。
猫捨てが多いので名前を出さないようにしております~
by green_blue_sky (2013-12-18 07:26)
こんにちは(⌒∇⌒)ノ"
クリスマスも終わりましたにゃ(=^ェ^=)
わたしは真央ちゃんにはソチ金メダル♪応援します。
ではではよい年末年始をお過ごしくださいませね。
またきますよーv
by つなみ (2013-12-26 11:35)
年末のご挨拶
今年1年、拙ブログにご来訪いただきまして、ありがとうございました。
来る年がまた 輝かしい年でありますように・・・
by 般若坊 (2013-12-30 09:49)
今年も“武爺の絵日記”にご訪問、NICE
ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします・・・
佳いお年をお迎えください!
by Take-Zee (2013-12-30 19:32)
広島の弟です。改めまして「明けましておめでとうございます。」
兄のブログを覗きに参りました。「まあ、なんとこまめな方でしょう!」主人公、田総谷 惣介(たぶさや 惣介)「正義の血脈」「さまよえる血脈」のブログ小説を読んでみて下さいね。
by 谷本純男 (2014-01-02 12:21)
谷本さん
お久しぶりです。拙いブログにアクセスしてくれてありがとう。
メールアドレスをはがきか電話でで教えてください。
by 暁烏 英(あけがらす ひで) (2014-01-12 19:34)